〜論文が通りやすくなる第一歩は、基本ミスの見直しから〜
英語で医学論文を書くとき、「何を伝えたいか」は分かっていても、「どのように英語で表現すればいいのか」が難しいと感じたことはありませんか?
特に日本語の考え方のまま英語を書くと、ネイティブにとって不自然な文章になり、リジェクトの原因になることもあります。
今回は、日本人医師や研究者の方が医学英語論文でよくやってしまう基本的なミス10選をご紹介します。投稿前のセルフチェックや英語校正の参考にしてください。
誤: We inserted catheter into vein.
正: We inserted a catheter into a vein.
👉 日本語には冠詞がないため抜けがちですが、英語論文では必須です。
誤: The patient had high level of white blood cell.
正: The patient had a high level of white blood cells.
👉 medical termsは単複形の使い分けが非常に重要です。
誤: We analyze the data and found significant results.
正: We analyzed the data and found significant results.
👉 方法・結果は原則として「過去形」を使いましょう。
誤: The number of patients were 30.
正: The number of patients was 30.
👉 「number」は単数なので、動詞は “was”。
誤: We performed the operation safely without doing mistake.
正: The operation was performed safely without errors.
👉 「ミスをする」は “make a mistake” や “errors” で表現します。
誤: An increase on blood pressure
正: An increase in blood pressure
👉 「increase in」「effect on」「association with」などはよく使われます。
誤: The blood pressure was measured by us every day.
正: We measured the blood pressure every day.
👉 英語では、明確な主語があるときは能動態が読みやすいです。
誤: It was high in the morning.("It"は何?)
正: The patient’s blood pressure was high in the morning.
👉 論文では、主語は常に明確に。
例:anemia(米式) vs anaemia(英式)
👉 一つの論文では英米どちらかに統一しましょう(投稿先のジャーナルに準拠)。
誤: It is considered that this result is important.
正: This result may be important.
👉 英語では「回りくどさ」はマイナス評価です。
これらのミスは、わかっていても気づきにくいものです。特に、投稿直前の原稿には客観的な視点が不可欠です。
Cross Lingua Solutionsでは、医学分野に精通した英語ネイティブによる翻訳・校正・投稿支援を提供しています。
論文を書き終えた後、「やっと終わった!」と達成感に浸るのは当然です。しかし、いざ投稿となると、「本当にこれで大丈夫?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、英語論文をスムーズに投稿するために、投稿前に必ずチェックしておきたい5つのポイントをご紹介します。
英語論文では、IMRaD(Introduction, Methods, Results, and Discussion)構成が一般的です。しかし、ただセクションが分かれているだけでは不十分。各部分がスムーズに繋がっていて、論理の流れに飛躍がないかを確認しましょう。
特に日本語での発想をそのまま英語に置き換えただけでは、読者に意図が伝わりづらいことがあります。
文法ミスやタイポだけでなく、ネイティブにとって自然な表現になっているかも重要です。たとえば、「It is suggested that...」のような丁寧な言い回しも、使いすぎると曖昧な印象を与えてしまうことがあります。
自分では気づきにくいので、専門分野に精通した英文校正者にチェックしてもらうのがおすすめです。
「文字サイズ」「図表の挿入方法」「参考文献のフォーマット」など、各ジャーナルには細かな投稿ルールがあります。一見地味な作業ですが、ここを疎かにするとフォーマット不備で即リジェクトされるケースも。
面倒でも、ガイドラインを1つずつチェックしながら修正することが重要です。
図表は、読者に研究の要点を一目で伝える大切なツールです。ラベルの誤字や単位のミス、統計的記述の矛盾などがあると、論文全体の信頼性が疑われてしまいます。
一人で何度も見直すよりも、第三者の目を通すことでミスが見つかることもあります。
投稿先のジャーナルが、自分の研究テーマと合っているかどうか。これは意外と見落とされがちなポイントです。
スコープに合っていないと、中身が良くても読まれる機会すら得られないことも。
最近はジャーナルの「Aim & Scope」や過去の掲載論文をオンラインで確認できるので、投稿前にじっくり読み込んでおきましょう。
論文投稿前は、内容だけでなく「伝え方」や「見せ方」も問われます。
今回ご紹介した5つのチェックポイントを丁寧に見直すことで、採択の可能性を大きく高めることができます。
時間をかけて仕上げた研究だからこそ、最後の仕上げにもこだわっていきたいですね。
〜“英語がハードル”なだけで、貴重な研究成果が埋もれていませんか?〜
「英語が苦手で、せっかくの研究を投稿できない…」
「内容には自信があるけれど、英文にするのが不安…」
そんな悩みを抱えている医師の方は少なくありません。英語力が原因で、世界に発信されるべき医学研究が停滞してしまうのは非常にもったいないことです。
このコラムでは、英語が得意でなくても自信を持って論文を投稿するためのステップを、やさしくご紹介します。
英語が得意ではないことを前提にすると、
👉 無理にすべて自分で書こうとせず、「プロの力を借りる」前提でスケジュールを組めます。
日本語でドラフトを書く
図表・データは先に整理しておく
ジャーナルの投稿規定(投稿先)を早めに確認しておく
👉 英語を書く前に「何を書くか」を整理しておくと、後が圧倒的にラクになります。
ジャーナルによって書き方・形式・分量が異なります。
投稿ガイドライン(Instructions for Authors)を早めに確認
参考になる過去の掲載論文を数本読んでみる
投稿論文の英語の“雰囲気”をつかんでおく
👉 投稿前に方向性を固めることで、やり直しや無駄が減ります。
「英語が苦手」だからこそ、日本語の段階で内容を整理するのが重要です。
研究の目的、方法、結果、考察を日本語で明確に書く
結論が曖昧にならないように気をつける
自分では気づきにくい論理の飛躍は、同僚に見てもらうのも有効です
👉 英訳作業をスムーズにし、翻訳者や校正者にも正確に伝わります。
「DeepLやChatGPTで書ける」という声もありますが、医学論文は専門性と正確さが命。
無料ツールだけでは限界があります。
Cross Lingua Solutionsでは:
医学に詳しい翻訳者と英語ネイティブ校正者がチームで対応
投稿先ジャーナルのスタイルに合わせた表現を意識
論理性・自然な英語・表現の一貫性を重視した原稿作成
👉 英語の不安から解放され、研究内容に集中できます。
論文そのものだけでなく、カバーレターや図表、倫理審査番号なども求められます。
カバーレターの英語表現にも注意
図表タイトル・凡例もすべて英語で自然に書く
引用スタイル(APA, Vancouverなど)にも注意
👉 投稿フォーマット調整を使えば、見落としやミスによるリジェクトも防げます。
英語が苦手だからといって、世界から距離を置く必要はありません。プロのサポートを使えば、英語論文執筆のハードルはぐっと下がります。
Cross Lingua Solutionsでは、日本人医師・研究者の皆さまのために翻訳・英文校正をメインとして、ジャーナル投稿サポートを提供しています。
まずは、無料相談からお気軽にどうぞ。
医師・研究者のための“ジャーナル選び”基礎知識
「この雑誌、インパクトファクターが高いって聞いたけど、結局どういう意味?」
「IFが高いジャーナルに載れば、キャリアに有利って本当?」
そんな疑問をお持ちの医師・研究者の方に向けて、今回は「インパクトファクター(Impact Factor)」について、わかりやすく解説します。
インパクトファクター(IF)とは、学術雑誌の「影響力」や「注目度」を数値化した指標です。
簡単にいえば、その雑誌に掲載された論文が、他の論文でどれくらい引用されたかをもとに計算されます。
【2024年IF】 = 2022年 + 2023年に発表された論文が、2024年に何回引用されたか ÷ 論文数(2022–2023)
たとえば:
2022–2023の2年間で100本の論文が掲載
それらが2024年に500回引用された
⇒ 500 ÷ 100 = 5.0 → インパクトファクターは「5.0」
インパクトファクターは、以下のような理由で重要視されます。
✅ そのジャーナルがどれだけ影響力を持っているかの“目安”になる
✅ 研究者としての業績評価(昇進・研究費申請など)に影響する
✅ ハイインパクトなジャーナルに載ると、世界中の医師に読まれやすくなる
分野によって引用数の傾向が異なる
例:基礎医学 > 臨床研究 > 外科系分野 の順で引用が多くなる傾向あり
個々の論文の質を直接示すものではない
短期的に話題になったテーマ(例:COVID-19)で一時的に上昇することも
👉 インパクトファクターが高いからすごい/低いから意味がないとは言えません。
投稿先を選ぶときに、インパクトファクターだけで判断するのは危険です。
以下のような視点も重要です:
🔹 自分の研究テーマと合っているか
🔹 読者層(臨床医?研究者?専門領域は?)
🔹 査読期間や採択率
🔹 オープンアクセス or 定期購読型?
🔹 英文表現の厳しさ(英語力への要求度)
IFの高いジャーナルを目指すなら、英文の正確さ・明確さ・論理構成の完成度が非常に重要です。
Cross Lingua Solutionsでは、医学に精通した英語ネイティブと協力し、次のサポートを提供しています:
カバーレター・査読回答の英語表現サポート
🎯 目指すジャーナルに合わせた最適な英文スタイルで仕上げます。
インパクトファクターは、研究を「より広く読まれるためのひとつの目安」です。
ですが、それがすべてではありません。自分の研究内容とマッチするジャーナルを選ぶことが、最も重要です。
近年、脳腫瘍や脳血管奇形などの治療において、低侵襲かつ高精度な定位放射線治療として「ガンマナイフ」が注目されています。ここでは、医療従事者の皆様に向けて、ガンマナイフ手術の特徴や臨床での活用、注意点についてご紹介いたします。
**ガンマナイフ(Gamma Knife)**は、放射線をメスのように使って脳内の限局した病変を治療する「放射線外科(radiosurgery)」の代表的手法です。201本のコバルト60から発せられるガンマ線を、サブミリ単位の精度で病変に集中照射します。正常脳組織への線量を抑えつつ、腫瘍や血管異常に高い治療効果を与えることができます。
ガンマナイフは以下のような疾患に広く適用されています:
良性腫瘍(聴神経腫瘍、髄膜腫、下垂体腺腫など)
転移性脳腫瘍(肺がん・乳がん・悪性黒色腫などの脳転移)
脳動静脈奇形(AVM)
三叉神経痛、パーキンソン病、てんかんの一部
開頭手術が困難な症例や、高齢・全身状態にリスクのある患者にも適応できるケースが多くあります。
主な利点:
メスを使わないため、侵襲が少なく身体への負担が軽い
日帰りまたは短期入院で治療が可能
精密照射により副作用が少ない
治療後、比較的早く日常生活に復帰できる
留意すべき点:
即効性はなく、効果が数か月~年単位で現れる場合もある
浮腫や一時的な神経学的症状を伴うことがある
腫瘍サイズや部位によっては適応外となる場合もある
そのため、多職種での治療方針検討が不可欠です。
Cross Lingua Solutionsでは、ガンマナイフをはじめとする脳神経外科・定位放射線治療に関する英語論文の翻訳や投稿支援を多数手がけております。
代表の山本(Takashi Yamamoto)は、かつて東京女子医科大学脳神経外科 林基弘准教授の秘書として数年間勤務しており、現場の診療・研究に深く携わってまいりました。この経験を活かし、医療現場の実情に即した高品質な翻訳・英文校正・投稿支援を行っています。
ガンマナイフに限らず、医療分野における国際的な論文発表や症例報告には、「専門性」と「言語精度」の両立が求められます。Cross Lingua Solutionsは、医療従事者の皆様の発信力を高めるパートナーとして、確かなサポートをご提供いたします。
ご相談・お見積もりはいつでもお気軽にご連絡ください。